新聞広告デザインの変動期
1964年〜1971年 

 過去の新聞で調べごとをしているときに、ふと気が付いたのですが、
昭和39年(1964年)の東京オリンピックが終わった頃から、昭和46年(1971年)にかけて
新聞広告のデザインスタイルが目まぐるしく変化している時期があり、非常に興味を持ちました。
日本の新聞広告デザインは静的なおとなしいものが多いのですが、この時期に関しては動的なデザイン
も多く混ざっています。そして、昭和45年(1970年)ごろから再び徐々におとなしいデザインに
戻っていくのですが、昭和38年(1963年)頃と比べると、デザインセンスはかなり洗練されています。

 調べ方は、図書館の読売新聞の縮刷版(昭和39年1月〜昭和46年12月)、 ほとんど全てに
目をとおし、私の個人的な趣向を強く反映してますが、その時代の特徴的なデザインと判断したものを
拾ってみました。

 私的な感想としては、昭和42年以前は言葉による商品説明が多いように思えますが、昭和42年以降は
イメージによる広告が増え始め、昭和44年(1969年)頃から現在のデザインスタイルが確立して
きたという印象です。

<注意>
 今回の文章は読売新聞に出た新聞広告についての私的な感想ですので、時代背景や業界事情などの調査、インタビューなどは全くして
いません。そのため内容的に誤解している部分もあるかも知れません。このことをご了解のうえお読みください。



出典:読売新聞の縮刷版(昭和39年1月〜昭和46年12月)
◆日産ブルーバード◆

新聞広告デザインのスタイルが数年で大きく変わっていることに気付いた事例他社の広告も同じように変化していた
ので今回調べるきっかけになった。
昭和39年(1964年)

64年10月1日
昭和40年(1965年)

65年7月29日
昭和44年(1969年)

69年3月17日
◆日産サニー◆

実験的に外国のデザイン感覚を取り入れ、徐々に日本人のセンスへアレンジしていく過程がうかがえる
昭和42年(1967年)

67年12月22日
昭和43年(1968年)

68年2月19日
昭和44年(1969年)

69年1月29日
昭和44年(1969年)

69年4月12日
昭和45年(1970年)

70年2月11日
昭和46年(1971年)

71年4月22日
◆トヨタ◆

日本の新聞広告デザインの変遷を端的に物語っているという印象
昭和41年(1966年)

66年12月10日
昭和42年(1967年)

67年9月29日
昭和43年(1968年)

68年11月20日
昭和44年(1969年)

69年11月26日
昭和46年(1971年)

71年4 月20日
◆マツダ ファミリア◆

年代が近いのでデザインの変化は把握できないが、なんとも言えないこの時代独特の味わいがでている。
昭和43年(1968年)

68年9月3日
昭和43年(1968年)

68年7月4日
昭和45年(1970年)

マツダ東洋工業 
70年2月18日
◆年度別コメント(1964〜1970年)◆
昭和39年(1964年)
経済白書 サブタイトル:開放体制下の日本経済
(参考:昭和38年版 経済白書 サブタイトル:先進国への道)

海外で売れている、専門家・海外に認められている、海外の技術導入といった、商品に権威付けした広告
で目を引くものが多かった。国産品の評価が低いので、それを覆す努力を一生懸命しているという印象を受けた。

最近の世界初などのキャッチフレーズが多い広告から見ると、かつてこんな時代があったのかと感慨深い。

日産 64年2月4日

フジカラー 64年10月11日

中外製薬 64年2月17日

64年10月20日

ダイハツ 64年10月20日

 明治製菓 64年10月29日

 森永乳業?製菓? 65年1月7日
インスタントコーヒーを出していたとは
知りませんでした。
昭和40年(1965年)
経済白書 サブタイトル:安定成長の課題

新旧デザインが混在しているが、広告デザインが変わり始める。ファッションなどで変化を感じたが、生活が豊かになり始め人々が
流行や憧れに手を出せるようになってきたことを示しているのだろうか?

海外での販売実績アピール 日産
65年7月29日


高級感をアピール 三菱自動車
65年8月25日

森永製菓 65年7月18日


田辺製薬 65年10月6日

資生堂 65年4月8日


帝人 65年10月1日 
昭和41年(1966年)
経済白書 サブタイトル:持続的成長への道

商品に権威付けした広告が少なくなる。国産品のイメージが向上したからなのだろうか?
前年から懸賞付き広告が増えたというか目立つように思える。これは何を意味するのだろうか?

ホンダ 66年6月20日 
三洋電機 66年3月12日

森永乳業 66年3月17日


森永製菓 66年2月8日

森永製菓 66年3月26日


ライオン歯磨 66年6月15日
昭和42年(1967年)
経済白書 サブタイトル:能率と福祉の向上

この年から、言葉よりイメージに訴える広告が多くなる。
1967年、1968年はデザイン革新の年ではなかろうか?新聞広告で見る限りデザインの洋風化が加速しているような印象を受ける。

ホンダ 67年9月24日

不二家 67年9月16日

ニッカウイスキー 
67年5月6日

牛乳石鹸共進社 67年5月5日

67年9月21日

67年9月24日
昭和43年(1968年)
経済白書 サブタイトル:国際化のなかの日本経済

外国のデザイン感覚を日本人なりに消化し始めた年という感じである。地味に見えながらダイナミックな動きの構図の広告が
いくつか記憶に残った。印象としては広告から社会の活気や勢いを感じる。

スズキ 68年11月4日


三共 68年1月8日


日産 68年2月3日

不二家 68年7月1日
昭和44年(1969年)
経済白書 サブタイトル:豊かさへの挑戦

昭和42、43年の変革の試みから、新しいデザインスタイルが出来てきたという印象である。
広告に出る商品の種類も多くなる。広告にレジャーを連想する背景デザインが多く登場し始める

69年11月2日

セイコー 服部時計店
69年3月12日

カルピス食品工業
69年6月2日

横浜ゴム 69年11月22日

不二家 69年11月21日

69年3月20日
昭和45年(1970年)
経済白書 サブタイトル:日本経済の新しい次元

現在も見かけるデザインパターンがだいたい出揃ったという感じである。広告に出る日常消耗品の種類が年々増え
社会が物質的に豊かになってきたという印象である。また、外資系企業のインパクトあるセンスの良い広告も混ざるように
なる。その一方で外国のデザイン感覚をそのまま取り入れたような実験的なデザインが減り、一見静かな大人しいデザインに
戻っていくようにも見える。しかしこれは、海外のデザインを日本人なりに消化して活用し始めたからではなかろうか。
昭和38年(1963年)頃の広告デザインと比較すると、全体的に洗練された方向に変貌している。
この年以降のデザインは、変化しながらも劇的というほどの印象を受けなくなる。


70年2月17日

明治乳業 70年2月3日

カゴメ株式会社 70年2月19日

マックスファクター
70年3月6日
ところで、日本のデザイナーはどこの国のデザインを参考にしたのか調べてみましたが、主にアメリカのデザインセンスを
取り入れているという印象を持ちました(以下の2冊を参照)。


参照:All-American Ads 60s
TASCHEN刊

※本が大きくページ数も多いので置き場所に困るかも
しかし質・量ともに見ごたえがある


参照:アイコンシリーズ
All-American Ads 60s
TASCHEN刊
※本のサイズが小さく、ページ数も多くないので
かさばらなくてよい




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